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26歳修士卒の一般企業サラリーマンが気になるトピックスについて考えていきます。

【モンハン生物学】ティガレックスの寒冷地適応についての考察と未来の姿

こんにちは

小林ベイビーグランドと申します。

 

 

つい先日、モンスターハンターライズの体験版がリリースされました。私は、Nintendo Switchを持っていないため、この機に購入を考えております。

 

さて、本日はモンハン生物学ということで、私が初めてプレイしたモンハン2のメインモンスター、轟竜ティガレックスの寒冷地適応についての考察をしていきたいと思います。ティガレックスモンスターハンターライズにも登場するモンスターですね。

 

目次

  1. ティガレックスについて
  2. なぜ雪山や渡りの凍て地など寒冷地で見かけるのか
  3. ティガレックスは寒冷地に適応できていない?
  4. 将来的なティガレックスの進化




1.ティガレックスについて

ティガレックスは飛竜種と呼ばれるモンスターの一種で、とりわけ原始的な特徴を残したものとされています。黄色の外殻に青い縞模様の体躯と、歩行に適した形状に発達した前脚が外見的特徴で、飛行を苦手とする反面、陸上での運動能力に徹底的に特化しています。

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ティガレックスttps://www.gtubers.com/mhw-9/より

 

また、性質は極めて獰猛で、生態系の頂点に立つ飛竜の一種として恐れられる存在であり、「絶対強者」や「大地の暴君」などの異名で知られています。

生息地としては、主に砂漠や砂原などの乾燥帯とされていますが、特定のテリトリーを定めてその地に定住する事は珍しく、各地を放浪するように移動しながら獲物を探しています。特に好物とされているのがポポの肉です。

 

 

2.なぜ雪山や渡りの凍て地など寒冷地で見かけるのか

上述の通り、ティガレックスの生息地は砂漠や砂原などの乾燥地ですが、正反対の寒冷地でたびたび確認されています。具体的な例ではMH2Gの雪山やMHWIの渡りの凍て地などがあります。

それはなぜでしょうか?

答えは好物ポポの存在にあります。ポポは、反り返った巨大な牙と長い体毛が特徴の草食獣で、雪山や凍土などの寒冷地域に群れを作り生息しています。つまり、好物のポポを求めて乾燥地からはるばる遠征してくるというわけです。

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ティガレックスとポポ http://gamedaradara.doorblog.jpより

ここで、乾燥地に適応しているティガレックスは寒冷地ではどうなのか生物学的な見地で考察していきたいと思います。

 

 

3.ティガレックスは寒冷地に適応できていない?

結論から申しますとティガレックスは、寒冷地に適応した形質を有しておりません。その理由について、現実の生物を参考に3つの観点から寒冷地適応を見ていきたいと思います。

 

まず1つ目は、体温維持に関わる厚い体毛や脂肪が見られない点です。通常、寒冷地に生息する恒温動物は体温を保持するためこれらの形態が見られます。(変温動物はそもそも活動が限られるため割愛させていただきます。)代表的な例ではホッキョクグマで体毛が二重構造で厚く、長さ最大5cmのきめ細かく密な下毛と15cmに達する長く荒い保護毛が生えています*1。また、脂肪も全体重の約50%を占めるとされています*2

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ホッキョクグマ https://blogs.yahoo.co.jp/close/index.htmlより

 


一方、ティガレックスを見ると体毛らしきものは見当たりませんし、脂肪も少ない筋骨隆々な体格をしています。これでは、体温が保持できず活動時間にも限りがあるのではないでしょうか。

 

 

次に2つ目、寒冷地に適応した恒温動物に見られるベルクマン・アレンの法則が成立していない点にあります。1つ目の理由と少し重複するのですが、寒冷地で恒温動物は、代謝により生じた体温を維持させる必要があります。そのため、体温を逃がさないため、体を大きくすることで、体重当たりの表面積が減少させ、放熱量を減少させます。また、同様に表面積を減少させるため、耳、吻、首、足、尾などの突出部が短くさせる傾向もあります。これらをまとめてベルクマン・アレンの法則といいます。

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マレーグマ・ツキノワグマホッキョクグマのイメージ画像。それぞれ熱帯・温帯・寒帯に生息しその環境に適応した形質を有する。

http://manabu-biology.com/より

 

ティガレックスでは、立派な尻尾や耳、足が確認できます。体の大きさや体重は比較が難しいため、砂漠と雪山で狩ったティガの体長や体重を比較した結果、有意な差は確認されませんでした。

 

 

 

最後に3つ目、保護色についてです。寒冷地に生息する肉食動物の多くは、餌となる動物に発見されるリスクを低減させるため白い保護色を有しています。実際に同種の生き物であっても高緯度(寒冷な地域)のもののほうが体色が薄くなる傾向があります(マレーグマ・ツキノワグマホッキョクグマのイメージ画像参照)。これをグロージャーの規則といいます。現実ではホッキョクグマやホッキョクギツネが、MHの世界ではレイギエナやベリオロスなどが代表的な例だと思います。一方でティガレックスを見ると、黄色い体色であり砂漠や砂原といった乾燥地では保護色となることで適応している様が伺えます。この体色では雪山で目立ってしまいポポや共存関係のガムートに見つかる可能性が高くなるのではないかと考えられます。

  

 

以上、3点よりティガレックスは、寒冷地に適応した形質を有していないという結論に達しました。

 

 

 

4.将来的なティガレックスの進化

まとめると、ティガレックスは好物のポポを求めて寒冷地に赴く一方で、寒冷地には適応していません。その理由は、ズバリ雪山に行くようになってから時間があまり経過していないためだと考えられます。一説によると、寒冷地で見られる理由に、人間が利用していたポポを食べて味を占めたとする説もあります。人間が動物(犬)を家畜化したのが1万2千年前とされているので、ポポを利用し始めたのはそれ以降と考えられます。そのため、ティガレックスがまだ適応しきるのに時間がたっていないと考えられます。人間だって完全に二足歩行に適応しきれていない説もありますし、寿命の長い生物は環境に適応するのに時間を多く費やします。

 雪山でのエネルギー収支を単純な式にすると、

 雪山に移動するエネルギー+雪山で消費するエネルギー

                  <雪山で得られるエネルギー

とならなければ生きていけません。となれば、左の式で示されるエネルギーを低減させるための進化がなされるのは必然的だと考えられます。砂漠から移動せず寒冷地に生息できるようになるため、体温維持に必要な形質(脂肪、体毛、表面積の縮小など)を手に入れる、狩りに必要なエネルギーを低下させるよう白い保護色を手に入れる点といった進化がなされる可能性が高いと考えられます。

そのため、将来的にはずんぐりむっくりで、手足が短く、真っ白なティガレックスが誕生するかもしれません。また、移動が不必要となり羽が退化するかもしれませんね。

 そこで将来的なティガレックスのイメージ図を考えてみました。

ソース画像を表示

moomin-friends_icon.jpg | 毒親育ち、母になる。~機能不全家族に育てられたACちゃんの35849days~ (hikaru.life)

 

 

いや、ムーミンかよ!!!

 

 

 

それでは今日はそんなところで

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